KKR高松病院

〒760-0018 香川県高松市天神前4-18

087-861-3261

呼吸器内科(睡眠・呼吸センター)

睡眠・禁煙外来

睡眠・禁煙外来の特徴

睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群、周期性四肢運動障害、レム睡眠行動障害、ナルコレプシーなどの睡眠障害の検査・治療、また禁煙治療の診療を行っています。
人間は生きている限り、常に呼吸し、毎日睡眠をとります。睡眠がしっかり取れなければ健康な毎日は過ごせません。睡眠時無呼吸症候群は高血圧・脳血管障害・狭心症・糖尿病などの生活習慣をひきおこし、すでに生活習慣病を合併している場合は更に悪化する恐れがあります。また近年では労働災害や交通事故を起こす危険が非常に高くなり、社会問題として関心も高まっています。
睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠呼吸障害について、当院睡眠・呼吸センターは心臓血管病センターと栄養サポートセンターと密接に連携し、質の高い医療を提供できるよう心掛けております。

睡眠・禁煙外来のトピックス

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは気道の閉塞などが原因で睡眠中に何回も呼吸が止まる病気です。重度の患者においては放置すると高血圧や脳卒中、心筋梗塞・狭心症、糖尿病などを引き起こし10年後には死亡率40%以上との報告もあります。その上、日中の眠気のため交通事故や危険を伴う機械の操作などで 事故を起こす確率が一般の人と比べ非常に高いことが証明されています。このように医学的にも社会的にも睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠障害は放置できず、治療が必要です。

1.睡眠時 無呼吸症候群の症状とは

  • 大きないびき
  • 日中の過度の眠気
  • すっきり起きられない
  • 睡眠中の呼吸が止まっていると指摘される

2.睡眠時無呼吸症候群の検査とは

  • 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
    睡眠呼吸障害を正しく診断するために欠かせない検査です。この検査は睡眠の状態と呼吸の状態をトータルに調べる検査方法で、脳波や心電図、呼吸の状態、腹部・胸部の動き、血液中の酸素濃度、足の動き、体の向きなどを測定するセンサーを体に取り付けて一晩寝ていただきます。痛みを伴うことはありません。
    また当院ではPSG専用の個室を設け、睡眠中の状態をモニターしています。
  • 簡易型睡眠時無呼吸検査
    呼吸モニターのみの簡易型睡眠時無呼吸検査も行っています。
    一泊入院の必要はなく、ご自宅での簡易検査です。
    ご自分でセンサーの装着をしていただきます。
    簡易検査のため睡眠時無呼吸症候群の診断には再度PSG検査が必要になる場合があります。

3.睡眠時無呼吸症候群の治療とは

  • 検査結果において、軽症の方は減量や飲酒量を控えるなど生活習慣の見直しや歯科装具(歯科で作成)等により症状が改善することもあります。
    しかし中~重症の方にはCPAP(持続陽圧呼吸療法)療法などの適切な処置を行うと、日中の眠気や倦怠感などの自覚症状がなくなるだけでなく合併症を予防したり改善したりすることもできます。
  • 当院睡眠・呼吸センターでは最新の治療器及びマスクを各種取り揃えており、より患者様に適した治療方法をお選びいただけます。
    また睡眠・呼吸センター内の指導・相談室では、技師が常駐しておりいつでも機器のメンテナンス・消耗品の受け渡し、機器の取り扱い説明等が受けられるようになっています。

Q&A

1.検査費用はいくらかかるの?

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)の場合は、3割負担の場合で約42,000円です。
1泊入院が必要で、個室料7,700円が含まれます。
簡易型睡眠時無呼吸検査の場合は、3割負担の場合で約3,000円です。
標準的なケースを基に金額を算出しており、検査内容により金額が異なります。

2.検査結果はどれぐらいでわかるの?

検査の解析におおよそ1週間かかります。
検査日より1週間以降に、結果説明の診察が可能です。

3.睡眠時無呼吸低呼吸症候群以外にどんな病気がわかるの?

むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害、ナルコレプシーなどの病気も確認できます。

周期性四肢運動障害

1.周期性四肢運動障害の症状とは

  • 睡眠中に脚がピクピクと周期的に繰り返し動く
  • 脚の動きのため熟睡できず昼間眠い

2.周期性四肢運動障害の検査とは

  • 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
    睡眠中の脚の周期的な動きを確認するために行います。
    この検査は睡眠の状態と呼吸の状態をトータルに調べる検査方法で、脳波や心電図、呼吸の状態、腹部・胸部の動き、血液中の酸素濃度、足の動き、体の向きなどを測定するセンサーを体に取り付けて一晩寝ていただきます。痛みなどは全くありません。
    また当院ではPSG専用の個室を設け、睡眠中の状態をモニターしています。

3.周期性四肢運動障害の治療とは

  • 原因にもよりますが、主に薬物療法で改善します。
むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)

1.むずむず脚症候群の症状とは

次のような症状が夜横になって寝ようするとでたり、ひどくなったりします。

  • 脚がほてる、熱い
  • 脚の裏やふくらはぎの辺りがムズムズする、痛がゆい
  • じっとしていられず脚を動かしたい
  • 脚の違和感のため眠れない

2.むずむず脚症候群の検査とは

  • 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
    多くの場合で周期性四肢運動を合併するため、周期性四肢運動障害の有無を調べるために行います。この検査は睡眠の状態と呼吸の状態をトータルに調べる検査方法で、脳波や心電図、呼吸の状態、腹部・胸部の動き、血液中の酸素濃度、足の動き、体の向きなどを測定するセンサーを体に取り付けて一晩寝ていただきます。痛みなどは全くありません。
    また当院ではPSG専用の個室を設け、睡眠中の状態をモニターしています。

3.むずむず脚症候群の治療とは

  • 出現頻度や原因にもよりますが、主に薬物療法で改善します。
レム睡眠行動障害

1.レム睡眠行動障害とは

睡眠中に起こる異常行動で、大声で寝言を言う、奇声を発する、腕を上げて何か探すしぐさをする、殴る・蹴るなどの動きをする、などの症状があります。症状が強い場合は起き上がって歩き回る、隣の人を殴る、ベッドから転倒するといった危険な行動を起こす場合もあります。異常行動中から速やかに覚醒した際、夢の内容を覚えているケースが多いのが特徴です。高齢の男性に多いことが分かっています。パーキンソン病、レビー小体病、多系統萎縮症などの中枢神経疾患の発症に先駆けて、レム睡眠行動障害が起こることもあります。

2.レム睡眠行動障害の検査とは

  • 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
    この検査は睡眠の状態と呼吸の状態をトータルに調べる検査方法で、脳波や心電図、呼吸の状態、腹部・胸部の動き、血液中の酸素濃度、足の動き、体の向きなどを測定するセンサーを体に取り付けて一晩寝ていただきます。痛みなどは全くありません。
    また当院ではPSG専用の個室を設け、睡眠中の状態をモニターしています。

3.レム睡眠行動障害の治療とは

ほとんどの方が薬物療法で症状が改善されることがわかっています。

禁煙治療

禁煙治療には保険が適応されます。これは喫煙を単なる習慣や嗜好と考えるのではなく、ニコチン依存症という病気としてとらえ、治療を行います。治療は一定の条件を満たした喫煙者なら、どなたでも受けることができます。
また当院では治療アプリを使用した禁煙治療を行なっています。保険適応のため、治療費用はご自身の負担割合(3割など)に応じてご負担いただきますが、タバコを継続的に吸い続けることを考えると経済的メリットは大きいです。是非当院で治療アプリを活用した禁煙治療を頑張っていきましょう!(治療アプリ紹介サイト

1.禁煙治療を受けるための一定条件とは?

  • (喫煙年数×1日の喫煙本数)点が200点以上こと
  • 今すぐに禁煙の意志があること
  • 1年以内に医療機関で禁煙治療を受けていないことなどの条件を満たしていること

2.受診の頻度や間隔は

全部で5回の受診が必要です。

初回診察
0日目
再診 1
14日目(2週間後)
再診 2
28日目(4週間後)
再診 3
56日目(8週間後)
再診4
84日目(12週間後)

3.禁煙外来ではどんな事をするの?

治療内容

禁煙治療のための条件の確認

(1)問診・診察
(2)呼気一酸化炭素濃度の測定
(3)肺機能検査・肺年齢の測定(初回・最終のみ)
(4)禁煙実施状況の確認・継続のアドバイス
(5)ニコチン製剤の処方

4.どんな薬があるの?

1.ニコチネル TTS

ニコチンを皮膚から吸収させる貼り薬で、毎日1枚皮膚に貼ります。
貼り薬は3サイズあり、ニコチンの含まれる量が違います。
一時的にニコチンを補い、ゆっくりニコチンを減らすことで禁煙中のイライラを緩和します。

2.チャンピックス

ニコチンを含まない飲み薬です。
禁煙中のイライラを緩和するだけでなく、喫煙による満足感も抑制します。
禁煙開始する1週間前から飲み始め、12週間服用します。
なお、厚生労働省からの通達により、チャンピックスを服用後にめまい、眠気、意識障害等の症状があらわれ自動車事故に至った報告があるため、自動車の運転など危険を伴う機械の操作を避けなければ処方をすることができなくなりましたのでご了承ください。

5.費用はいくらかかるの?

1.ニコチネルTTS 3割負担で禁煙治療(12週間の場合)・・・約15,000円
2.チャンピックス 3割負担で禁煙治療(12週間の場合)・・・約20,000円

睡眠・禁煙外来の診療担当医表

当科初診の場合、受付時間は午前の診察は11:00まで、午後の診察は16:00までとなります。
受診をご希望の方は、事前に当センターまでお問い合わせください。
高松病院代表電話番号:087-861-3261

 
午前
市川(9:00~)
岡山大学医師(9:00~)
市川(9:00~)
荒川
谷口(第2週)
午後
-
荒川(14:30~)
松岡(15:00~)
岡山大学医師(15:00~)
荒川(第1週以外)
岡山大学医師(第1週)
 
午前
午後
市川(9:00~)
-
岡山大学医師(9:00~)
荒川(14:30~)
市川(9:00~)
松岡(15:00~)
荒川
谷口(第2週)
岡山大学医師(15:00~)
荒川(第1週以外)
岡山大学医師(第1週)

睡眠・禁煙外来の担当医師紹介

森 由弘モリ ヨシヒロ病院長
専門分野
  • 内科一般
  • 呼吸器
  • 感染症
  • アレルギー
認定・資格
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
  • 日本呼吸器学会専門医・指導医
  • 日本アレルギー学会専門医・指導医
  • 日本呼吸器内視鏡学会専門医・指導医
  • 日本結核非結核性抗酸菌症学会指導医
  • 日本病院総合診療医学会認定医
  • 日本人間ドック検診専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • インフェクションコントロールドクター(ICD)
  • 香川大学医学部臨床教授
  • 岡山大学医学部臨床教授
荒川 裕佳子アラカワ ユカコ睡眠・呼吸センター長 兼 アレルギー科部長
専門分野
  • 呼吸器
  • アレルギー
  • 睡眠呼吸障害
認定・資格
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
  • 日本呼吸器学会専門医・指導医
  • 日本アレルギー学会専門医・指導医
  • 日本喘息学会 専門医
  • 日本人間ドック学会認定指導医
  • 日本禁煙学会 禁煙認定医
  • 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 呼吸ケア指導士
市川 裕久イチカワ ヒロヒサ呼吸器内科部長
専門分野
  • 呼吸器全般、感染症
認定・資格
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
  • 日本呼吸器学会専門医・指導医
  • 日本アレルギー学会専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会専門医・気管支鏡指導医
  • 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医
  • インフェクションコントロールドクター(ICD)
  • 呼吸療法指導士
  • 岡山大学医学部臨床教授
関 祥子セキ ショウコ呼吸器内科医師
専門分野
  • 呼吸器
認定・資格
  • 日本内科学会認定内科医
松岡 克浩マツオカ カツヒロ呼吸器内科医師
専門分野
  • 呼吸器
認定・資格
  • 日本内科学会認定内科医

過眠症外来

過眠症外来の特徴

2020年9月より、睡眠時無呼吸症候群以外の睡眠障害(ナルコレプシーなどの過眠症についての専門外来を月1回開設し、谷口充孝医師(大阪回生病院)が診察を行っています。

診察予定日:毎月第2木曜日9:00~11:30
完全予約制ですので、診察をご希望の方は睡眠・呼吸センターまでお問合わせください。

1.下記の事項に関しても、ご了解いただいた上で、ご予約ください。

  • 睡眠日誌の記載を行える方
  • 睡眠覚醒リズムに関わる生活習慣の見直しに努力する意思をお持ちの方

2.なお、診察の結果、下記と考えられた場合も、診療の対象外とさせていただきます。

  • うつ病や適応障害など精神疾患や発達障害などに伴う睡眠障害と考えられる場合
  • 睡眠薬や精神安定剤などの薬物依存、アルコール依存と考えられる場合
  • 睡眠障害 が他の身体・神経疾患により生じていると考えられ、その治療が優先される場合など

過眠症外来のトピックス

ナルコレプシー
  • 夜の十分な睡眠にもかかわらず、昼間強い眠気がある
  • 急に耐えがたい眠気に襲われて眠り込んでしまう症状(睡眠発作)
  • 笑った時や怒った時など感情の動きが引き金となって、急に全身の力が抜ける発作(情動脱力発作)
  • 寝入りばなの鮮明で現実感のある夢(入眠時幻覚)と、金縛りのような状態(睡眠麻痺)

1.ナルコレプシーの検査とは

通常、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を前夜に行い、翌日の朝から睡眠潜時反復検査(MSLT)を行いますので、丸1日掛がかりの検査となります。

  • 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
    昼間の眠気の原因が夜間の睡眠障害なのか、それ以外によるものかを調べるために行います。この検査は睡眠の状態と呼吸の状態をトータルに調べる検査方法で、脳波や心電図、呼吸の状態、腹部・胸部の動き、血液中の酸素濃度、足の動き、体の向きなどを測定するセンサーを体に取り付けて一晩寝ていただきます。痛みなどは全くありません。
    また当院ではPSG専用の個室を設け、睡眠中の状態をモニターしています。
  • 睡眠潜時反復検査(MSLT)
    昼間、2時間間隔で約30分間の睡眠ポリグラフ検査を4~5回繰り返し行う検査です。これにより昼間の眠気の程度がわかります。またナルコレプシーの特徴であるレム睡眠が寝入りばなに現れるかどうかも調べることができ、ナルコレプシーの診断には欠かせない検査です。

2.ナルコレプシーの治療法とは

睡眠には『レム睡眠(夢をみる睡眠)』と『ノンレム睡眠』があり、睡眠中は交互に起こります。ナルコレプシーはレム睡眠に異常がみられる病気です。
ナルコレプシーの根本的な治療法はまだ開発させていません。治療は症状を抑えることが中心となりますが、薬を飲むことで症状は改善されます。

睡眠・覚醒リズム表

睡眠日誌とは起きた時間と寝た時間を毎日記録する日記です。日頃の睡眠状態を把握するために使われます。
下記からダウンロードできますのでご活用下さい。

過眠症外来の診療担当医表

診察をご希望の方は睡眠・呼吸センターまでお問合わせください。
高松病院代表電話番号:087-861-3261

 
午前
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谷口(第2週)
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午後
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午前
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谷口(第2週)
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呼吸器・アレルギー外来

呼吸器・アレルギー外来の特徴

2診では呼吸器・アレルギー外来として診療を行っています。当科では呼吸器疾患全般に対応しています。
特に気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断・治療には、チーム(医師、看護師、薬剤師、検査技師、理学療法士、栄養士)で取り組んでいます。

呼吸器・アレルギー外来のトピックス

気管支喘息

気管支喘息は現在では気道(空気の通り道)の炎症によりおこる病気であることが分かり、その治療は抗炎症薬である吸入ステロイドが中心です。

また、気道の炎症により気管支は収縮するため、気管支を広げる薬として気管支拡張薬があります。気管支拡張薬には長時間作用型と短時間作用型があり、長時間作用型は喘息のコントロールに使用し、短時間作用型は発作の時に使用します。

当院で採用している吸入薬は下記の通りです。

  • 吸入ステロイド+長時間作用型気管支拡張薬の合剤
    ○ 1剤で気道炎症と狭窄両方に優れた効果を示します。
    ○ 2種類の薬が相互に作用し、相乗効果を示します。
  • 吸入ステロイド単剤
    ① ドライパウダー製剤
    吸った実感がほとんどなく、また吸うタイミングに注意する必要がありません。
    ② エアゾール製剤
    吸う力が弱くても吸入することができます。
  • 長時間作用型気管支拡張薬
  • 短時間作用型気管支拡張薬

喘息治療吸入薬(当院採用薬)

1-1. 吸入ステロイド+気管支拡張薬(ドライパウダー製剤)
  • 商品名
    シムビコートタービュヘイラー
    一般名
    ブデソニド・ホルモテロール
  • 商品名
    アドエア ディスカス
    一般名
    フルチカゾン・サルメテロール
  • 商品名
    レルベア エリプタ
    一般名
    フルチカゾン・ビランテロール
1-2. 吸入ステロイド+気管支拡張薬(エアゾル製剤)
  • 商品名
    アドエア エアゾール
    一般名
    フルチカゾン・サルメテロール
  • 商品名
    フルティフォーム
    一般名
    フルチカゾン・ホルモテロール
2-1. 吸入ステロイド(ドライパウダー製剤:合剤を除く)
  • 商品名
    パルミコートタービュヘイラー
    一般名
    ブデソニド
  • 商品名
    フルタイドディスカス
    一般名
    フルチカゾン
  • 商品名
    アズマネックスツイストヘラー
    一般名
    モメタゾン
  • 商品名
    アニュイティエリプタ
    一般名
    フルチカゾン
2-2. 吸入ステロイド(エアゾール製剤:合剤を除く)
  • 商品名
    オルベスコインヘラー
    一般名
    シクレソニド
3-1. 長時間作用型気管支拡張薬(ドライパウダー製剤:合剤を除く)
  • 商品名
    セレベントディスカス
    一般名
    サルメテロール
3-2. 長時間作用型気管支拡張薬(エアゾル製剤製剤:合剤を除く)
  • 商品名
    スピリーバレスピマット
    一般名
    チオトロピウム
4.短時間作用型気管支拡張薬
  • 商品名
    メプチンエアー
    一般名
    プロカテロール
  • 商品名
    サルタノールインヘラー
    一般名
    サルブタモール

吸入ステロイド薬Q&A

吸入ステロイド薬はなぜぜんそくに効くの?

ぜんそくの患者さんの気道は、アレルギー性の炎症を起こして、過敏になっています。
そのため、たばこの煙や冷気などわずかな刺激にも反応して、発作を起こしやすい状態にあります。
吸入ステロイド薬は、気道炎症をしずめ、気道過敏性を軽減して、発作を予防します。
現実に、ステロイド吸入療法が普及してから、重症ぜんそくが改善し、内服薬が減量できたり、発作で救急外来を受診されたり入院される方が減っています。

軽いぜんそくでも吸入ステロイド薬を使うの?

ぜんそくの気道炎症は慢性です。程度の差はあれ、軽症でも非発作時でも気道炎症は存在します。
そして気道炎症が長期化、重症化すると、気道の構造がこわれて、気道がかたく狭くなった状態が元に戻らなくなってしまう「リモデリング」が起こります。
このような回復不能なことが起こってからでは遅いので、できるだけ発症早期から炎症をしずめるステロイド吸入療法を始める必要があります。

ステロイドは副作用がこわいのでは?

内服ステロイド薬は、血液循環に入り全身的作用を及ぼすので、長期に大量に用いると、胃潰瘍、骨粗鬆症、糖尿病など全身性の副作用の心配があります。
けれども吸入ステロイド薬は、気道局所に長くとどまって少量で強い効果を発揮し、肺から吸収されたり、口やのどに付着して飲み下されて腸管から吸収されても、肝臓で速やかに代謝、排泄されるよう開発された薬です。大量でなければ吸入ステロイド薬は全身的作用を及ぼしません。だから連用しても副作用がほとんどありません。

本当にステロイド薬に副作用はないの?

考えられる副作用は、のどの刺激感、嗄声(かすれ声)、口腔内カンジダ症(口の中にカンジダというカビによる白い斑点ができる)など局所的なものに限られます。スペーサー(吸入補助器)を使用すること、吸入後にうがいをすること、でほとんど防ぐことができます。

吸入するとかえってせきが出るときは、やめていいの?

ぜんそくのコントロールが悪いときは、気道が過敏な状態なので、吸入すら刺激となってせきが出ることがあります。
これは副作用ではなく、気道炎症悪化のサインなので、ステロイド吸入療法を中止してはますます炎症が悪化してしまいます。
まずβ2刺激薬を吸入した後にステロイド薬を吸入したり、あるいはまず内服ステロイドを短期間使用してから吸入ステロイドを再開するとよいので、主治医にご相談ください。

吸入を忘れたときはどうすればいいの?

たとえば昼の吸入を忘れた場合は、夕に昼の分を足して2回分吸入するなど、時間はずれても、1日の吸入量は守りましょう。

ステロイド吸入療法はいつまで続ければいいの?

気道炎症は慢性的で、発作がおさまっているときでも炎症は続いています。
ステロイド吸入療法を中止すると炎症は確実に悪化し、しばらくして再び症状が現れます。
そして「リモデリング」を起こさないためにも、中止することはむずかしいです。
ただし、症状が少なくとも3ヶ月以上安定しているときに、吸入量を減らすことは可能です。
自己判断で勝手に減量・中止しないで、主治医の指示に従い決められた吸入量を続けて、良い状態を長く維持しましょう。

妊娠中もステロイド吸入療法を続けていいの?

吸入ステロイド薬は、体内の血液循環に入って胎盤を通過することがほとんどないので、胎児への影響はなく安全です。薬の影響以上に危険なのは、母親が妊娠中にぜんそく発作を繰り返し、おなかの赤ちゃんも酸素不足になることです。 ステロイド吸入療法でぜんそくを良好にコントロールすることが大切です。

発作が起きそうなときに、余計に吸入してもいいの?

ステロイド薬は、慢性的な気道炎症を抑え、気道過敏性を改善し、発作を防ぐ「長期管理薬」です。発作が起きそうなときや起きてしまったときに早く楽にする「発作治療薬」ではありません。
「発作治療薬」としては、気管支拡張薬のβ2刺激薬吸入が有効です。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

COPDとは、慢性閉塞性肺疾患と呼ばれ、従来の肺気腫と慢性気管支炎を含みます。動作時の息切れ、咳、痰などが主な症状です。
COPDの原因のほとんどがタバコであり、気管や肺胞の炎症・破壊が起こります。加齢とともに呼吸機能の低下が徐々に進行し、やがて呼吸不全へとおちいります。
禁煙が一番の治療となります。

COPDの診断

COPDを診断するには、胸部レントゲン写真や肺機能検査、CT検査が有用です。
肺機能検査で一秒率(最初の一秒間の呼気量÷肺活量)が70%以下の場合をCOPDと診断します。
当院では、ご自身の肺機能をより分かりやすくご理解いただけるよう『肺年齢』を表示しています。

COPDの重症度

  • 軽症:咳・痰が出やすい
  • 中等症:運動時の呼吸困難、慢性の咳・痰
  • 重症:息切れの増加、生活に支障をきたす増悪の繰り返し
  • 最重症:慢性呼吸不全、生活が出来ない、在宅酸素療法(HOT)の導入、増悪による死亡の恐れ

COPDの治療

一定以上に進行したCOPDの治療には、お薬以外にも運動療法、栄養療法、酸素療法を含めた包括的な治療が重要となってきます。当院では多職種によるチームでCOPD診療に取り組んでおります。

重症ぜんそくに対する抗体療法

当院では、重症喘息の患者様へ抗体製剤による治療を行っています。
高用量の吸入ステロイド薬による治療を行っていても十分なコントロールを得られない患者は、重症喘息と診断されます。
重症喘息に対しては,気道の炎症を起こす原因であるアレルギー反応を抑える抗体製剤を使用した治療を行うことによって、今までの吸入薬を使っても残っている症状を改善して健やかな日常生活を送ることが期待できます。

現在、以下の生物学的製剤が重症喘息の治療に使えるようになっています。

  • 製品名:ゾレア(一般名:オマリズマブ)
    喘息の方の場合、体の中でアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)に対するIgE抗体というタンパク質が大量につくられます。アレルゲンと結合したIgE抗体がマスト細胞(アレルギー反応に関わる細胞)にくっつくと、マスト細胞からヒスタミンなどが放出され、アレルギー反応(炎症)が起こります。
    抗IgE抗体には、IgE抗体がマスト細胞にくっつくのをブロックする働きがあります。その結果、アレルギー反応(炎症)を食い止めることで、喘息の症状が改善することにつながります。
    投与方法:
    体重や血液中のIgE抗体の量に合わせて2週間または4週間に1回皮下注射します。
    使用が推奨される患者:
    ・アレルギー抗原(ハウスダスト、ダニなど)に対するIgE値が陽性
    ・総IgE値が30IU/mlから1500IU/mlの値を示す
  • 製品名:ヌーカラ(一般名:メポリズマブ)
    喘息を重症化させるひとつの要因として、血液中の好酸球が関係しています。好酸球の働きを活性化させるのが、IL-5(インターロイキン-5)という物質です。
    抗IL-5抗体には、IL-5の働きを抑えて、炎症を引き起こす好酸球を減らす作用があります。
    気道に集まる好酸球が減少することで、喘息の症状を改善することにつながります。
    投与方法:
    4週間に1回皮下注射します。
    使用が推奨される患者:
    血液中の好酸球が高い方
  • 商品名:ファセンラ(一般名:ベンラリズマブ)
    好酸球を活性化させるIL-5(インターロイキン-5)が、好酸球の表面にあるIL-5受容体にくっつくのを妨げる薬です。さらに、直接好酸球を除去する効果もあります。これによって、喘息の症状を改善することにさせることにつながります。
    投与方法:
    初日、4週後、8週後に皮下注射し、その後8週間隔で継続します。
    使用が推奨される患者:
    血液中の好酸球が高い方
  • 製品名:デュピクセント(一般名:デュピルマブ)
    IL-4(インターロイキン-4)とIL-13(インターロイキン-13)の働きをおさえることで、気道が狭くなったり、炎症を引き起こすB細胞やマスト細胞の活動を抑えます。これによって喘息の症状を改善させます。
    投与方法:
    初回は2本、その後は1本ずつ2週間ごとに皮下注射します。最初は病院で注射する必要がありますが、医師の判断のもと注射手技に問題がなければ、自宅での自己注射が可能となります。
    使用が推奨される患者:
    肺機能検査の中で呼気中の一酸化窒素(NO)が高い方

抗体製剤使用による副作用

初回、2回目の抗体製剤を注射した日は、お薬が体に合わず体調に変化が出る可能性がありますので注射後30分間は病院内で様子を見させていただきます。
また、注射をした後に、注射をした部位(うでやお腹、太もも)に、痛みが生じたり、赤く腫れたり、かゆくなったり、出血する可能性があります。

医療費について

抗体製剤は高額な薬剤ですが、医療費が高額になった場合は、さまざまな助成制度による補助を受けることが可能です。
ご自身、またはご家族の加入されている社会保険の種類を確かめた上で、病院のソーシャルワーカー、社会保険事務所や健康保険、共済組合、自治体の窓口などにおたずねください。

スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎でお悩みのかたへ(当院は舌下免疫療法シダトレンRが処方可能です)

舌下免疫療法について(スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎でお悩みのかたへ)

スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法のひとつに、アレルゲン免疫療法があります。
アレルゲン免疫療法は、最近では治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになりました。
「舌下免疫療法」は、血液検査によりスギ花粉またはダニに対するアレルギー反応が陽性のかたが治療を受けることができます。

1.スギ花粉症でお悩みのかたへ

(1) お薬の効果、服用方法
当院ではシダキュアによる治療が可能です。
このお薬は、スギ花粉を原料とするエキスから作られており、少量から内服することで体をスギ花粉に慣らし、くしゃみ・鼻水をはじめとする花粉症の症状を和らげる治療法です。
アレルギー症状の有無にかかわらず、毎日継続して内服する必要があります。
内服開始日は、アレルギー症状が強く出ないことを確認するため内服後30分間は病院内で様子を見させていただきます。

(2) 治療期間
3~5年間行います。最初は副作用が出やすいため2週間後の来院をお願いしています。その後は副作用の有無を確認するために1~2か月程度の受診をおすすめしますが、問題がなければ最大90日まで処方薬を受け取ることが可能です。
また、治療開始時期はスギ花粉飛散の少ない6月~12月のみとなります。

2.ダニによるアレルギー性鼻炎でお悩みのかたへ

(1) お薬の効果、服用方法
当院ではアシテアによる治療が可能です。
このお薬は、アレルギーの原因となるアレルゲンを少量から、繰り返し服用することによって体を慣らしていくことで、ダニによるアレルギー性鼻炎の症状を和らげる治療法です。
アレルギー症状の有無にかかわらず、毎日継続して内服する必要があります。
内服開始日は、アレルギー症状が強く出ないことを確認するため内服後30分間は病院内で様子を見させていただきます。

(2) 治療期間
3~5年間行います。最初は副作用が出やすいため2週間後の来院をお願いしています。
その後は副作用の有無を確認するために1~2か月程度の受診をおすすめしますが、問題がなければ最大90日まで処方薬を受け取ることが可能です。

よくあるご質問(スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎共通)

誰でも処方してもらえますか?

治療前に問診・アレルギー検査を行う必要があります。アレルギー検査の結果、アレルゲンがスギ花粉(またはダニ)であると診断された方が対象となります。

いつ診察可能ですか?

当院では、アレルギー科医長の荒川裕佳子先生が専門で診察・治療を行っています。詳しい診察日に関しては、お問い合わせの上ご確認ください。

費用はどれくらいかかりますか?

初回はアレルギー検査費で約1万円程度の追加費用がかかりますが、その後は診察・処方料を含めて、ひと月当たり2,000円~3,000円程度となります。

何歳から治療できますか?

5歳以上の小児から原則治療可能ですが、当院では小児の診療は行っていません。

妊娠または妊娠の可能性のある場合は治療できますか?

原則治療はお勧めしていません。

授乳中の場合でも治療できますか?

母乳にお薬の成分が混じる可能性があるため、治療中は授乳を避けてください。

呼吸リハビリテーション外来

慢性呼吸器疾患においては、包括的な呼吸リハビリテーションが重要です。実際には、薬物療法のみではなく、運動療法や栄養療法、日常生活管理、患者教育などが必要です。 そこで当院では、週に1度、呼吸リハビリテーション外来枠を設け、在宅酸素療法患者様を中心に多職種による包括的な外来診療を行っています。

医師(呼吸器内科)

診察を行い、必要な検査やお薬を処方すを行います。

看護師(慢性呼吸器疾患看護認定看護師・呼吸療法認定士・呼吸ケア指導士)

問診などから生活状況を把握し、息切れの程度を評価します。評価の結果から日常生活における注意点や解決策を提示します。

理学療法士(内部障害専門理学療法士・呼吸療法認定士・呼吸ケア指導士)

運動機能・身体活動量の評価を行い、現在の身体機能を把握します。評価結果に基づき、実際に運動療法やコンディショニングを行い、自宅でも継続可能な自主練習などの指導をします。

管理栄養士・薬剤師

食事やお薬のことなど、必要に応じて専門職が対応します。


※ 患者様からの承諾を得て掲載しております。

呼吸器・アレルギー外来の診療担当医表

当科初診の場合、受付時間は午前の診察は11:30まで、午後の診察は16:30までとなります。

 
午前
荒川
松岡
市川
荒川
松岡
岡山大学医師(初診)
市川
岡山大学医師(初診)
午後
-
-
荒川(重症喘息14:30~)
-
-
 
午前
午後
荒川
松岡
-
市川
-
荒川
荒川(重症喘息14:30~)
松岡
岡山大学医師(初診)
-
市川
岡山大学医師(初診)
-

呼吸器・アレルギー外来の担当医師紹介

森 由弘モリ ヨシヒロ病院長
専門分野
  • 内科一般
  • 呼吸器
  • 感染症
  • アレルギー
認定・資格
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
  • 日本呼吸器学会専門医・指導医
  • 日本アレルギー学会専門医・指導医
  • 日本呼吸器内視鏡学会専門医・指導医
  • 日本結核非結核性抗酸菌症学会指導医
  • 日本病院総合診療医学会認定医
  • 日本人間ドック検診専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • インフェクションコントロールドクター(ICD)
  • 香川大学医学部臨床教授
  • 岡山大学医学部臨床教授
荒川 裕佳子アラカワ ユカコ睡眠・呼吸センター長 兼 アレルギー科部長
専門分野
  • 呼吸器
  • アレルギー
  • 睡眠呼吸障害
認定・資格
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
  • 日本呼吸器学会専門医・指導医
  • 日本アレルギー学会専門医・指導医
  • 日本喘息学会 専門医
  • 日本人間ドック学会認定指導医
  • 日本禁煙学会 禁煙認定医
  • 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 呼吸ケア指導士
市川 裕久イチカワ ヒロヒサ呼吸器内科部長
専門分野
  • 呼吸器全般、感染症
認定・資格
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
  • 日本呼吸器学会専門医・指導医
  • 日本アレルギー学会専門医
  • 日本呼吸器内視鏡学会専門医・気管支鏡指導医
  • 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医
  • インフェクションコントロールドクター(ICD)
  • 呼吸療法指導士
  • 岡山大学医学部臨床教授
関 祥子セキ ショウコ呼吸器内科医師
専門分野
  • 呼吸器
認定・資格
  • 日本内科学会認定内科医
松岡 克浩マツオカ カツヒロ呼吸器内科医師
専門分野
  • 呼吸器
認定・資格
  • 日本内科学会認定内科医