KKR高松病院

〒760-0018 香川県高松市天神前4-18

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臨床工学科

臨床工学技士(CE)とは

臨床工学技士は医療スタッフの一種であり、現在の医療に不可欠な医療機器のスペシャリストです。
今後益々増大する医療機器の安全確保と有効性維持の担い手としてチーム医療に貢献しています。
我々『臨床工学技士』は主に『生命維持管理装置』の操作および保守点検を行うことを業務としています。
『生命維持管理装置』とは人の呼吸、循環、代謝といったような生命の維持に直接つながる機能を代行したり、補助したりする装置のことです。

主な取得資格

不整脈治療専門臨床工学技士
1名
血液浄化専門臨床工学技士
3名
呼吸治療関連専門臨床工学技士
1名
呼吸療法認定士
4名
消化器内視鏡技師
3名
認定血液浄化臨床工学技士
2名
透析技術認定士
5名

臨床工学技士(CE)の業務

最近の医療現場では多種多様の医療機器が使用され、医師や看護師のみでは効率的かつ安全な医療が難しくなり、医学的な知識や工学的な知識と技術を持つ専門家として、患者さん、医師、看護師が安心して医療機器が使用できるように、多くの機器の点検・維持・管理を中心に私たちは働いています。

医療機器管理業務

当院の医療機器は医療機器管理室(MEセンター)で管理しています。
病棟、外来で使用する機器はほとんど中央管理されており、現在700台以上になります。それらの機器全てにおいて点検計画を立て確実に点検を行っています。人工呼吸器などの生命維持管理装置は使用中の点検を行い、医療機器による事故を未然に防ぎ、患者様に安心して医療を受けていただけるよう努力しています。
それぞれの機器はデータベースを用いて管理を行っています。データベースでの管理は稼働率等を算出することが出来るため、効果的な運用につながっています。また、機器の修理や部品交換等をMEセンターの臨床工学技士が院内で行なうようにし、故障機器のすばやい復帰・コストの削減を図っています。

当院における医療機器中央管理の取り組み

  • 医療機器の安全性の向上
  • 医療機器安全性情報の提供・研修会の開催(適正使用の推進)
  • 保有する機器の効率的な運用

機器が最良の状態で適正に使用できることをめざす。そのためには病院内全体での対応が必要である。
院内全体を視野に入れた一括管理 これを医療機器中央管理といいます。

1.医療機器の安全性の向上

当院の医療機器中央管理システム

当院の医療機器中央管理システムは下記のような流れです。
「貸し出しコーナー」より機器が各部署に貸し出され、使用後は一患者ごとにMEセンターに返却されます。
MEセンターでは臨床工学技士が清掃・消毒・点検作業を行ない、再び貸し出しコーナーに戻されます。
このようなシステムをとることで機器に対する安全性が向上しています。

MEセンター機器返却コーナー

朝一番でMEセンターに使用済み機器がどっさり返却されてきます。

返却されてきた機器の消毒・清掃・点検

機器は一台ずつ消毒・清掃し、専用の測定・点検器具で点検されます。
自分が患者の立場に立ち、きれいで、点検された安全な機器のみが各部署に貸し出されるようにしています。

ME機器貸し出し

点検された機器は貸し出しコーナーに配置されます。

中央管理機器の定期点検、修理、部品交換

機器清掃・消毒・使用前点検のほかに、定期的にグレードの高い点検も行なっています。
除細動器はエネルギーチェッカで、人工呼吸器はフローアナライザで、漏れ電流は漏れ電流チェッカ等で点検を行なっています。

トラブル対応

機器によるトラブルには365日、24時間体制での対応を行なっています。
MEセンターの臨床工学技士が、交代で対応しています。

2.医療機器安全性情報の提供・研修会の開催(適正使用の推進)

各部署への医療機器に関する安全性情報の提供は、MEセンターが行います。
情報を一括して入手し、各部署へMEセンターだよりなどで連絡しています。

MEセンターだよりの発行

月に一回、看護師向けに「MEEセンターだより」を発行しています。
機器の取り扱いの注意事項、安全性情報、工学的な治療法の紹介などを掲載しています。

3.保有する機器の効率的な運用

中央管理機器はMEセンター内のデータベースを用いて管理しています。
機器一台一台の購入から修理履歴、貸し出し状況などの数々の情報がわかるシステムになっています。
中央管理機器の稼働率等を算出することで効率的な運用を行なっています。

循環器関連業務

当院の循環器業務はポリグラフ操作・術中記録・IVUS・IABP・PCPS等の操作や植込み型デバイス患者管理・血管造影室の医療材料管理を担当しています。

1.CAG・PCI・EVT時業務

電子カルテへの術中記録やIVUS等の機器操作・物品出しを行っています。検査・治療中はポリグラフ等で患者状態を把握し、安心安全な医療の提供を心がけています。

2.電気生理学検査(EPS)、経皮的カテーテル心臓焼灼術(アブレーション)業務

心内心電図解析、スティムレータ操作、アブレータ操作、マッピングシステム操作などを行っています。時間がかかる治療ですが、様々な機器の情報を利用し迅速に治療が終われるように努力しています。

3.植込み型デバイス関連業務

デバイス植込み・交換・フォローアップ時のプログラマー操作や患者データ管理・遠隔患者管理・テンポラリーペースメーカの保守管理を行っています。
新規植込み後の電磁干渉に関する説明等も臨床工学技士が行い、植込みからフォローアップまで一貫して患者さんと関わることで、一人一人の患者さんに沿った至適設定を心がけ、信頼関係にも繋げています。

4.血管造影室医療材料管理業務

カテーテル類等の血管造影室の様々な物品の管理は臨床工学技士が行います。使用期限の管理や新たな医療物品や機器を患者さんに提供できるよう情報収集も欠かせません。

5.IABP・ECMO(PCPS)・低体温装置の導入・管理

これらの生命維持管理装置の導入は必ず臨床工学技士が立ち会います。
機器の運転中はちょっとしたトラブルや見落としが患者さんに重大な悪影響を及ぼす可能性があるため、24時間迅速に対応できるように体制を組んでいます。

6.循環器チーム医療

当院にはCCT(心血管ケアチーム)というチームがあり、臨床工学技士も積極的にチーム医療に参加・貢献を果たしています。また、学会や勉強会等への参加・発表にも力を入れており、循環器医療を支える一翼を担っています。

呼吸器関連業務

1.病棟人工呼吸器ラウンド

人工呼吸器が適切な設定で、治療が効果的に行えているか使用中点検を毎日行っています。
医師、看護師と連携し、より良い呼吸管理ができるよう努めています。

2.非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)導入

当院ではNPPVの導入はコメディカルスタッフの「NPPV導入インストラクター」が導入サポートを行います。インストラクターは呼吸療法認定士に認定資格を取得したスタッフが呼吸ケアサポートチームで認定されます。
臨床工学技士も2NPPV導入インストラクターとして活動し、4時間体制でサポートにあたります。
また、NPPV装置の操作や設定等の指導を他のコメディカルスタッフに指導を行うことでインストラクターの養成にも努めています。

NPPVには様々なマスクがあり、患者様に合った適切なマスクを選択するのも臨床工学技士の役割です。

3.在宅機器の導入指導

在宅でも人工呼吸器が必要な方へ使用方法を指導し、在宅に帰ってからも不安なく、機器が安全に使用できるよう取扱いの操作練習を一緒に行います。
また、退院後は導入後は外来で使用状況の確認、フォローしています。

在宅で酸素が必要な方のHOT(Home Oxygen Therapy:在宅酸素療法)も行っており、臨床工学技士は主に退院時の指導を行います。

  • 在田用人工呼吸器の指導風景
  • 在田用人工呼吸器の指導風景
  • 在宅酸素療法に使用する酸素濃縮器

4.呼吸デバイスの管理、導入

人工呼吸器以外にも呼吸を補助する装置は色々あります。
それらの取り付け等も行っています。

  • ハイフローセラピー:高流量の酸素を流し、呼吸を補助する。
  • アクアサーム:気道の加温・加湿を行い、排痰を促す。

5.呼吸ケアサポートチームへの参加

呼吸ケアサポートチームの活動に参加し、より良い医療が提供できるよう努めています。
また、週に一回、多職種合同で人工呼吸器を使用している方を対象に回診を行っています。

6.CPAP外来

睡眠・呼吸センターでは睡眠時無呼吸症候群の方へ経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)の使用方法の説明や導入後のフォローを行なっています。
機械の調整や消耗品の交換なども外来で行っています。
何かお困りのことがありましたらご相談ください。

7.在宅訪問指導

在宅で人工呼吸器や酸素濃縮器を使用する方に対して退院後の訪問指導も開始しました。
退院してからも安心、安全にNPPVが行えるよう機器の設置や環境整備をさせて頂きます。

手術室関連業務

1.手術室機器管理業務

手術室では様々な機器を使用します。
手術前の麻酔器や電気メスの始業点検や手術に合わせた機器セッティングを行っています。
また、機器が安全に使用されるよう定期点検も行っています。

手術室の機器

  • 麻酔器
  • 電気メス
  • 超音波凝固切開装置
  • 患者監視モニタ
  • 腹腔鏡下手術システム
  • 白内障手術装置
  • Ho:YAGレーザー
  • 麻酔記録システム

2.腹腔鏡下手術立ち会い

腹腔鏡下手術とはお腹を切らずに、お腹に数カ所穴をあけ、その穴からカメラや鉗子、電気メスを入れ、カメラで映した映像を見ながら手術を行うものです。
肺、胃、腎臓、腸など応用範囲も広く、従来の開腹手術に比べ低侵襲で手術を行うことができます。
現在、この内視鏡を使用した外科手術が増加しています。

腹腔鏡下手術では、カメラシステム、光源装置、気腹装置などの多くの医療機器を使用するため、我々、臨床工学技士も手術室に入り、機器のセッティング、操作を行っています。

内視鏡下手術では様々なカメラや鉗子を使用します。
手術時にトラブルがないよう、滅菌前にカメラや鉗子動作チェック、漏電チェックも行っています。

3.ラジオ波熱凝固療法(RFA)

ラジオ波熱凝固療法(RFA)はマイクロ波よりも周波数の低いラジオ波(460-480kHz)を用いて、腫瘍組織内に熱を発生させ、破壊する方法です。
臨床工学技士が手術中の機器操作を行っています。

内視鏡関連

当院の内視鏡室では年間8500件前後の内視鏡検査・治療を行っています。
臨床工学技士は治療検査時のデバイスや機器の操作・内視鏡システム管理・洗浄管理・物品管理を行い、チームの一員として緊急業務も行っています。

1.内視鏡検査・治療の介助業務

ERCP・ESD・EMR・止血術等のデバイス操作やEUS・DBE・電気メスなどの機器操作を行っています。

2.内視鏡システム管理

内視鏡室には、スコープ・光源装置・プロセッサ・画像転送システム・カプセル内視鏡・電気メスなど様々な精密機器が存在します。
それら機器の点検やトラブル・修理対応を行い、安全安心な機器の提供を心がけています。

3.洗浄管理

洗浄業務は、洗浄の質によって患者間での感染を起こしえるため非常に重要な業務です。
当院でも毎日の消毒液濃度チェックや定期的な培養検査、洗浄作業の見直しや指導を行い、洗浄における質の向上に力を入れています。

4.物品管理

現在内視鏡技術の目覚ましい発展により、様々な治療デバイスや物品があります。
それらの物品データベース管理システムを構築し、安定した物品管理を実現しています。