泌尿器科
泌尿器科とは
泌尿器科は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)と男性生殖器(精巣、精路、前立腺、陰茎)に対する治療・手術を主に行っていますが、臓器の位置の関係上、副腎についても治療を行っています。また、当院には女性の骨盤臓器脱および排尿障害に対応するため女性泌尿器科を併設しております。
主な病気としては、泌尿器がん(腎臓、尿管・膀胱、前立腺、精巣)、副腎腫瘍、前立腺肥大症、腎・尿管結石、尿路感染症(膀胱炎、腎盂炎)、 尿失禁、女性骨盤臓器脱(膀胱瘤、子宮脱、腟脱、直腸瘤)などがあります。
泌尿器科の特徴
泌尿器がん
前立腺がんの2次検査である前立腺生検に関して、当院では2018年3月より、西日本で初めて(全国で6施設目)「MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法」の実施機関として認められました。 これは、腫瘍マーカーであるPSAが高い患者さまに対して前立腺生検の前にMRI検査を行い、前立腺がんが疑われた場合にBioJetシステムという機器を使用しMRI画像と生検時の超音波画像を融合させ、腫瘍が疑われる部分を正確に組織採取できる技術です。先進医療として行ってきましたが、2022年4月からは保険適応となりました。また、前立腺がんの手術は従来の半分の皮膚切開(約6cm)で行う小切開手術(ミニマム創手術)を行っています。
腎がんや腎盂・尿管がん、副腎腫瘍に対しては腹腔鏡(後腹膜鏡)を用いた手術を積極的に行っています。大学と連携しておりますので、状況に応じて紹介しております。
尿路結石症(腎結石、尿管結石、膀胱結石)
当院では患者さまの状況に合わせ、治療を可能な限り早く行い、早期の社会復帰をめざしています。自然排石が困難な尿路結石の治療に対しては 内視鏡手術や体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が必要となります。尿管結石に対する内視鏡を使用した経尿道的結石破砕術では、原則全身麻酔で手術を行うため、抗血栓剤を内服している患者様でも中止することなく手術が可能で、また手術後に尿道バルーン(尿道の管)を留置しないため不快感や痛みが少なく2泊3日(または1泊2日)の入院で治療が可能です。また大きな腎結石に対するTAP(TUL assisted PNL)※も導入しております。従来大きな腎結石に対しては、皮膚から腎臓に直接穿刺し破砕する経皮的腎砕石術(PNL)で治療をおこなっておりました。結石除去効率がいい反面、10mm程の皮膚瘻孔作成が必要であり侵襲性の高さから泌尿器科医も躊躇する事が多い手術です。当院では小径腎盂鏡の導入により5mm程度の瘻孔で手術が可能になり、経尿道的手術も併用するため効率のいい結石除去が可能となりました。より安全で、より効率のいい治療をご相談いただけます。
ESWLにつきましては、当院には機械がありませんので近医へ紹介しております。
経皮・経尿道同時内視鏡手術で、ECIRS(Endoscopic combined intrarenal surgery)と同義語です。
排尿障害
前立腺肥大症に対する薬物療法や手術治療(経尿道的前立腺切除術)を行っています。また難治性過活動膀胱に対して膀胱ボトックス療法や仙骨神経刺激療法(SNM)の手術療法を導入しております。
女性泌尿器科疾患
女性泌尿器科疾患の一つである腹圧性尿失禁にTOT及びTVT手術を導入しており、薬物治療で効果がない患者様に対して積極的に手術治療を行っています。また、骨盤臓器脱(膀胱瘤、子宮脱、膣脱、直腸瘤など)に対しても、メッシュを使用したTVM手術を導入していますが、より安全で再発率の低い手術 である腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC手術)を2016年8月より導入し2022年10月時点で200例以上の手術を行っています。
泌尿器科のトピックス
- 「MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法」とは
-
2018年3月12日に先進医療「MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法」の実施医療機関として認められました。西日本では当院が初めて認可され、全国では6番目となります。
「MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法」とは、前立腺がんの検査法であり、MRIで前立腺がんが疑われた場合、事前に撮影したMRI画像と検査中の超音波画像をリアルタイムに同期させ3Dモデルを作成することができる機器である「BioJet(バイオジェット)システム」を使用して行う生検法です。
従来の前立腺がんの生検法は、MRIの撮影を行わず決められた部位を8~12か所ほど針生検を行う系統的生検が主流でしたが、MRIの質の向上により前立腺がんの検出率が高くなり、系統的生検に加えMRIでがんが疑われる部位を狙って生検する標的生検 (ターゲット生検)の有用性が近年報告されています。
当院でも2014年よりMRIを撮影し標的生検を行ってきましたが、2018年よりBioJetシステムを導入し、これまで以上に微小な病変を正確に採取することが可能となりました。当院では年間100例を超える前立腺針生検を施行していますが、その6割以上がBioJetシステムをもちいて行っております。
2022年4月より保険収載とされ、現在は先進医療ではなく健康保険での検査が可能となっております。 - SNM(仙骨神経刺激療法)とは
-
2017年10月に香川県で初めてSNMを導入しました。難治性過活動膀胱治療手術の1つで、仙骨神経の近くに電極を留置し、それを刺激装置と接続することで膀胱のコントロールを行います。刺激装置はおしりの皮下に埋め込みます。2週間程度の入院で行う必要がありますが、約7割の患者さんで排尿回数や尿失禁回数が減ったという報告があります。従来SNM留置後はMRI検査を受けられない点が問題でした。しかし2022年11月に条件付き全身MRI対応SNMシステムが使用できるようになりましたので、これまで以上に多くの方に適応が拡大します。
- 膀胱ボトックス療法とは
-
2020年に難治性過活動膀胱治療手術としてボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法が導入されました。切迫性尿失禁のある方が適応となります。ボツリヌス毒素(ボトックス®)を膀胱壁内に注入することで膀胱の筋肉を弛緩させ、尿意切迫感および切迫性尿失禁の軽減を図る治療法です。筋肉の弛緩が強く表れすぎることで、尿がでにくくなる合併症の報告があります(5%程度)。経尿道的な内視鏡手術で、時間は10~15分と非常に短時間で行えます。また局所麻酔下に行うことができ、日帰り手術も可能です。個人差はあるものの効果の持続期間は4~8か月程度で、繰り返し実施できます。
- LSC(腹腔鏡下仙骨腟固定術)とは
-
骨盤臓器脱に対する治療選択肢はいくつかありますが、当院では2016年からLSCを開始しました。下垂している臓器(膀胱・直腸)を支えるために腟の前壁と後壁にそれぞれメッシュを留置し、その前後メッシュを子宮頚部と仙骨前面の靱帯に固定し下がってこないようにするという手術法です。手術時間は4時間程度かかりますが、従来法や経腟メッシュ手術と比較し再発率が低いというメリットがあります。当院では現在までに200名以上の方に施行しております。メッシュを用いた頭低位での手術になりますので、感染のリスクの高い方(コントロール不良の糖尿病や免疫抑制剤使用中の方)や頭低位が不向きな方(未治療の脳動脈瘤をお持ちの方や眼圧の高い緑内障のある方)には別の治療法を提示させていただいております。
泌尿器科の診療予定
松岡
松岡
松岡
松岡
手術
松岡
松岡
松岡
松岡
手術
女性泌尿器科外来
泌尿器科の担当医師紹介
- 平間 裕美ヒラマ ヒロミ泌尿器科部長
-
- 専門分野
-
- 泌尿器科一般
- 女性泌尿器科
- 認定・資格
-
- 日本泌尿器科学会専門医・指導医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 日本女性骨盤底医学会専門医
- 松岡 祐貴マツオカ ユウキ泌尿器科医長
-
- 専門分野
-
- 泌尿器科一般
- 認定・資格
-
- 日本泌尿器科学会専門医・指導医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器腹腔鏡技術認定医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器腹腔鏡)